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 かつて愛したひと 
昔話をしよう。
昔の私の話。
初めて誰かを、愛した頃の話。

彼と出逢ったのは本当に突然だった。
携帯のメールで、私は彼の存在を知った。
時々、友人の家に遊びに来るかのようにメールをしてくる彼。
彼の言葉は優しくて、懐が深くて、
私の知る男子とは全く異なった。
私を嬉しくさせる言葉をくれた。
メールだったから、私も彼も非常に素直だった。
それは、特別な関係になっても変わらなかった。
私は彼が大好きだったから、いついなくなってもおかしくない
彼を、愛する気持ちは止められなかった。

そして私は、初めての恋愛に酔っていた。
とても、浮かれていた。

振り返れば、可愛い恋愛だったと想う。
逢えない淋しさも、恋は盲目ということも、
時に自分勝手になってしまうことも。
彼を愛して初めて知った。

いつ別れが来てもおかしくない状況を
受け入れていたつもりでも、やっぱり悲しくて
解決策を必死で練った。
ヒトじゃない彼を、信じることだけは貫き通した。
自分が彼の一番じゃないことは知っていたけど、
彼の一番のひとは私にとっても大切なひとだったから、一緒に守りたかった…。
それは私の驕りと夢でしか、なかったのだろうか。

別れはお互いが決めたことではなかったけれど、
大切なひとを守る彼を、今はもう責める気持ちはない。
それこそが、彼だったから。
ただ時々、ふと彼の行方を考える。
そしてあの幼い恋愛を、振り返る。

私が時折彼のことを想い出すのは、今新たに心から愛するひとがいるから。
決して未練がある訳ではない。
ただ、彼は私にひとを愛することを
教えてくれた存在だから。
だから私は、彼にとても感謝している。

もしも彼にもう一度逢えたなら、「ありがとう」と言いたい。
私は今、しあわせな恋愛をしているよ、と。

相羽李々


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